米CBS Newsにて、ご紹介頂きました。

2017年7月23日(日)に開催させて頂きました
第32回『中央区能に親しむ会』にて、
能『雲林院』を勤めさせて頂いた後の様子
(上演中は撮影禁止のため)などを取材して頂き

同年7月30日(日)に、米国の主要メディア
(3大ネットワークの一つ)である
CBS* 日曜日朝(現地時間)の
報道番組『サンデーモーニング』にて
全米を中心に放送されました。

放送内容の動画が掲載されているページはこちらです。
本放送と同様に英語のみです。
日本語訳にご興味がおありの方は、下記をご参照下さい。

日本の扇(おうぎ)・扇子・団扇(うちわ)の
魅力について紹介される特集で
扇が、日本芸術の一部として用いられる様子を
紹介するために、出演致しました。

能『雲林院』

シテ:中村 裕
地謡:加藤眞悟さん 伊藤嘉章さん
八田達弥さん 長谷川晴彦さん

仕舞・扇の紹介等:中村政裕

[全て観世流能楽師/梅若研能会]
於 東京銀座 二十五世観世右近記念観世能楽堂

全米最大級のメディアを通して、非常に多くの方々に
能や、日本芸術の魅力をお伝えする機会を頂き
誠に光栄でございます。

近年では、扇・扇子・団扇は、訪日客の方々には
浮世絵と同様に、調度品として、その持ち運びの
容易さからも、現地へのおみやげに好まれる一品です。
市内だけでなく、国際空港の古風なおみやげ
専門店にも必ずあります。

残念ながら、日本のTVバラエティ番組の背景として
高価な作品を、価値が全く分からないかのように
無造作に飾るような様子を見かけることがありますが

海外では、家庭のインテリアとしても
広げたスタイルで、美術品として
専用のスタンドに立てたり、額縁に入れられて
飾られることがあります。

おみやげとして購入されるものも
日本人ならば、飾るためにはわざわざ購入しないような
カジュアルなものから
プロが使用するような本格的な仕様に近いものまで様々です。

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米主要メディアCBS
2017年7月30日(日)午前(現地時間)
報道番組『サンデーモーニング』における放送内容の日本語訳

『日本の扇・扇子・団扇の芸術』

原題 “The art of Japanese fans
(brought by CBS News “Sunday Morning”)

(fan(ファン)は、英語では、団扇、扇子、扇、扇風機、送風機、また、風車の意味まであります。涼をとるための団扇と扇子は形状の違いがあり、一般的に、祭事・祝儀に用いられるものは扇と呼ばれます。同様に、能の扇も、扇子とは呼びません。)


掲載ページ動画下部の説明


うだるように暑い夏の午後、日本人は、何世紀にも渡ってご先祖が行ってきたのと同じように暑さを吹き飛ばします。扇子や団扇を片手に、浴衣を身にまとって、涼しい風にあたるために水辺に行く。中国で発祥した丸い形の平らな団扇は、今から千年以上前に、日本人が新たに今の型である折りたたみ式の扇子や扇を発明したと言われています。 扇子・団扇・扇は、サイズ、用途、スタイルが驚異的なほどたくさんあり、服飾品として、身に付ける人の魅力を表現します。 ルーシー・クラフトさんがレポートします。
(この映像は 「ディスカバリー京都」の協力によって、皆様にお届けします。)

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放送された映像の内容


日本の、空調設備がない時代にまで、さかのぼります。かつては、窓を開けて、日陰に座ったりしながら、扇子や団扇を片手に涼みました。手のひらで用いる空調。日本からルーシー・クラフトさんがこのポストカードを送ってくれました。

能『雲林院』観世流能楽師
中村裕

扇は、日本の伝統的な劇場(能舞台)において、あらゆる役割を果たす小道具です。

映像:浅草雷門前の三社祭の様子

また、祭りの大きな宴を盛り上げ

映像:日本舞踊 舞台

舞う芸者姿の演者たちの神秘性を高めます。

映像:(おそらく花火大会のために)
川辺で場所取りして涼みながら待つ人々

扇や扇子は、脚光を浴びるような利用シーンもありますが、他にも重要な役割を果たしています。うだるように暑い夏の午後、日本人は何世紀も前のご先祖と同じ方法で涼んでいます。

浴衣と扇子や団扇でドレスアップして、涼むために川辺に出かけます。
夏に欠かせないアクセサリー、それが、扇子です。

堀たかまささん(33)は、市販の大きな扇子を見せてくれました。これは涼むためだけのものではなく、「日本人ですから。」と言っています。

“「日本人としてはこういうものは好きだっていう気持ちがちょっとあったのです。」”

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映像:人々が街なかで販促用団扇を利用する様子

団扇は 庶民のファッションとして人気を博した後に、現代では、手に持つ広告媒体に発展しました。

映像:家電量販店の出入口で
販促用団扇が無料配布される様子

この家電量販店(ビックカメラ)では、団扇は、来客が自由に持ち帰ることができ、エアコンの広告が印刷されています。

映像:浮世絵と、そこに描かれる団扇・扇子

もともと、丸く平らな型だった団扇は中国で発祥しましたが、千年以上前に、日本人が折りたたみ式の扇子を発明しました。

映像:「伊場仙」店内 (東京都中央区日本橋小舟町)

古くからある扇や扇子は、大きさやスタイルが、驚異的なほど多様にあります。「伊場仙」は、16世紀から扇・扇子・団扇を手掛けて、販売しています。

映像:「京扇堂」店内 (東京都中央区日本橋人形町)

また、その近くの「京扇堂」は、アメリカ合衆国南北戦争より前(180年前)に設立されました。

経営者の、さえきちよこさんは「ビジネスマンには扇子は贈り物として好まれます。扇子はコンパクトですが、広げると日本の絵画を披露することができます。」と話してくれました。

“「扇子は非常にコンパクトですし、広げると日本的な絵柄が描かれています。」”

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映像:能『雲林院』シテ 中村裕
地謡 (左から/敬称略)
長谷川晴彦、伊藤嘉章、加藤眞悟、八田達弥

能舞台も含めて、高度な様式美を確立した、日本(世界)で最も古くから知られるパフォーミング・アートである「能」は、舞台装置も小道具もごくわずかです。手に持つ扇は、演目の内容を伝えるために、まるで重いものを持ち上げるような演者の舞の一部として、表現に用いられます。

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(能楽師)中村政裕、彼の演技キャリアは3歳から始まりました。紹介して下さった扇は、女性的なものでした。「数十万円相当以上の価値がありますが、観客の皆様には、あまり知られていません。」と話してくれました。

(番組内の音声(英語)では紹介されていませんが
長男として父の芸を継いでいく話として)
“「姉が3人いるのですけれども」”

能の扇は、涼む道具としては使用されません。(たとえば)剣や盾、あるいは、傘に見立てられます。

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映像:扇子職人まついさんの作業場

東京から離れたまついひろしさんは、最後の扇子職人の一人です。和紙や竹を、繊細な芸術に変えます。

「あなたは70歳です。そして、日々16時間も作業します。
扇子をもっと簡単に作る方法はありませんか。」
「作るのに、30の工程があります」と、おっしゃいました。

“「30工程くらいありますので。」”

角を切断する工程までできると、それだけが完成品となります。

日本人にとって、団扇・扇子・扇は人生そのものを示しています。あなたの目の前に展開される、これから起こりそうな多くの幸運のように。

世界初の近代的なエアコンは、1902年、ニューヨーク・バッファローのウィリス・キャリー氏が発明しました。とても素晴らしいですね!

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CBS


アメリカ合衆国最大手のTV・ラジオなどの放送局(マスメディア)。米国三大ネットワークの一つであり、日本では、TBS(東京赤坂)と業務提携している。TBSという名称も、CBSに由来すると言われている。報道番組の他にも、日本では、ドラマ『CSI:科学捜査班』や『クリミナル・マインド』、『ハワイ・ファイブ O』、『NCIS』、『パーソン・オブ・インタレスト』、バラエティショー『サバイバー』などで広く知られている。ドラマの主要キャストたちが、東日本大震災で被災した日本のファンのために”We are TOMODACHI” と、力強く元気づけてくれたキャンペーンも記憶に新しい。

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