梅若研能会四月公演
(平成30(2018)年4月15日(木)開催
於 セルリアンタワー能楽堂)にて
中村政裕が『胡 蝶』(こちょう)の仕舞を勤めさせて頂きます。
このに伴い、『胡蝶』*1の解説やあらすじを掲載致しました。
皆様のお越しをお待ちしております。
チケットについてはこちらでご確認ください。
能『胡蝶』 まとめ
- 『胡蝶』は鬘物(かづらもの/三番目物)、精天仙物です。
- 旧暦2月(現在の使用される暦の、2月下旬から4月上旬頃)の京都・一条大宮*2にでのお話。
- 梅の花を喜び、可憐に軽やかに飛びまわる蝶の舞で表現する、のどかさや優雅さが見ものです。
- 「胡蝶が梅の花に縁がないことを嘆く」というストーリーは、当時の五山文学(鎌倉時代末期から室町時代にかけて禅宗寺院で行われた漢文学)の影響があるようです。禅宗は鎌倉時代(13世紀)に伝来したと言われています。
- 題材は不明ですが、能『胡蝶』では、中国荘子(そうし/B.C.369-B.C.286)の「胡蝶の夢」のエピソードや「源氏物語」胡蝶の話に触れています。
- 『紅葉狩』と同様、観世小次郎信光(1435-1516)の作品。
能『胡蝶』 あらすじ
大和の国(奈良県)の吉野の山奥に住む僧は、早春の都を訪ねます。一条大宮に着いた僧が、古い宮の中に、見事に咲いた色違いの梅を見つけ眺めていると、女が声を掛けてきます。不審に思った僧が、宮の謂れ*3と女の名を問いただします。女は宮の謂れを説明しますが、自分の名は明かそうとしません。僧が重ねて問いかけると、女は、梅の花に縁のない身を嘆く蝶であると明かし、僧に有難いお経を読んでもらい、成仏したいという望みを語ります。そして、夜半*4に夢の中に現れると言い残して、夕空へ消えていきました。
僧が梅花の下で一夜の宿を取り、お経を読んで寝ると、胡蝶の精霊が現れます。梅の花と出あった喜びを表して舞い、歌舞の菩薩の舞い姿を見せて後、明け方の空へ、羽を打ち交わしながら消えていきます。
*1 | 胡蝶 | 蝶の別称。 |
*2 | 一条大宮 | 現在の京都御所の北側の真西、 二条城の真北にあたる場所。 |
*3 | いわれ 謂れ |
由緒。 |
*4 | 夜半 | 夜中。 午前0時をはさむ 前後1時間の2時間くらい。 |
参考
『胡蝶』- 耕漁『能楽図絵』後編 上