能『羽衣』 (第29回 新潟薪能)

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能『羽衣』 まとめ

  • 駿河国三保浦*1が舞台
  • 謡曲『羽衣』は、羽衣伝説*2をもとに15世紀に制作され室町時代から人気があった
  • 日本各地に広まった羽衣伝説は主人公の天人(てんにん)が富をもたらす内容だが
    能『羽衣』の醍醐味はシテの舞による天上世界の再現
  • 梅若研能会(中村裕の所属する能楽師の集団/公益財団法人)に縁の深い演目

能『羽衣』 あらすじ

駿河の三保の松原に住む漁師の白龍(ワキ/はくりょう)が、松の枝に掛けてある美しい羽衣をみつけ、持ち帰ろうとしますが、天人(シテ)に呼び止められます。羽衣は天人の物でそれが無いと自分は天上へ帰ることができないと嘆き悲しみます。

白龍は羽衣を返す代わりに、天上界の舞を所望します。

天人は羽衣を身に纏って、三保の松原の春景色を愛でながら舞を舞い、空高く富士を見下ろしながらも去って行きます。

  みほのうら
*1 三保浦

駿河国は現在の静岡県の一部。三保浦は三保の松原。

平安時代から富士山が美しく見える景色として
万葉集に編纂された田口益人の一首にも詠まれました。

 はごろも
*2 羽衣伝説

日本各地に存在する「羽衣伝説」があります。
滋賀県長浜市余呉湖の『近江国風土記』、京都府京丹後市峰山町が『丹後国風土記』が最古で、それが、日本各地に広まったと言われています。『丹後国風土記』の編纂が命じられたのが716(和銅6)年のため、8世紀には完成していたようです。

これらの最古の羽衣伝説が根付き、その他の地方に広まった中でも最も有名なのが、三保の松原の羽衣伝説と言われています。

羽衣の物語は、後に、かつて、長唄、筝曲、舞踊、浮世絵、歌舞伎なども通じて日本中に広まりました。

能『羽衣』 背景

作者 不明
場所

駿河湾三保浦
現在の静岡県静岡市三保の松原

季節 晩春
→旧暦3月
現在の暦では、3月下旬から5月上旬頃まで
分類 三番目物 精天仙物

能『羽衣』 登場人物と装束

  シテ
天人

てんにん

中村裕

ワキ
漁夫 白龍

はくりょう

森常好

ワキツレ
漁夫

 

梅村昌功

冠り物 天冠    
仮髪 長鬘
ばさら
飾髻
胴箔紅入鬘帯
   
能面 ぞう

または
若女、
小面
   
上着 まいぎぬ
舞衣

 

ものぎ
物着に
長絹
または
舞衣

みずごろも
水衣


縷水衣
着付

すりはく
摺箔


白二

紅入縫箔腰巻
紅入縫入腰帯

だん のしめ
段熨斗目


はなだいろ
縹色

繍紋腰帯

むじ のしめ
無地熨斗目


浅黄

袴/
裳着
  白大口
(無しにも)
白大口
(無しにも)
鬘扇 男扇 男扇
 小道具    釣竿 釣竿
 作物 松立木
(角台)

小物は、分かりやすさを優先して、関連のある箇所に並列に記載しています。

出典 檜書店『観世流謡曲百番集』

参考

能『羽衣』- 耕漁『能楽図絵』前編 上(松木平吉, 1901)
→ 「国立国会図書館デジタルコレクション

能『羽衣』 ― 『能楽図帖』、耕漁『能楽百番』など、他多数
→ 「文化デジタルライブラリー
(運営 独立行政法人日本芸術文化振興会)

舞囃子『 狂言『樋の酒 能 『羽衣』

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